彼らの手口と動機  |  浅間さん抄(2)

日本の周囲に散らばる問題の根源
田母神セブン 2023.04.02
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田母神セブンでの執筆を拝命しました、浅間良恒と申します。教育学部(学校心理)卒、金融系システムエンジニアとして約20年勤めている会社員です。目に見えるものの裏側・仕組みに関心を向けて、自分が納得するまで調べて考えます。いわゆる愛国者目線とは異なるところもありますが、味変のようなものとしてご賞味ご笑覧ください。

1. 去年の最高裁判決は米軍慰安婦問題

2. 徴用工、尖閣、竹島、北方領土、南京、…

3. 「太平洋戦争」アメリカの手口と動機

1. 去年の最高裁判決は米軍慰安婦問題

2022年9月29日、韓国の最高裁にて慰安婦損害賠償訴訟に原告勝訴の判決が下りた。旧日本軍でなく、米軍の慰安婦女性に関する訴訟であった。2018年にはソウル高裁が2つの事実を認めていた。1つは在韓米軍基地村で、韓国政府が性売買を正当化し助長したという話。もう1つは、米軍慰安婦に対する性病管理を組織的かつ暴力的に実施して、死者まで出したというもの。

「在韓米軍慰安婦問題」(Wikipedia)に詳しいが、1990年代初頭まで、韓国で慰安婦といえば米軍相手の売春婦を指した。1980年代の韓国民主化を境に、在韓米軍基地村の慰安婦問題が韓国国民に知られるようになった。これに1992年の尹今伊殺害事件(米軍兵士による基地村女性の惨殺)や2002年の米軍装甲車女子中学生轢死事件が重なった。韓国国民の怒りは反米運動として現れ、在韓アメリカ大使館や在韓米軍基地にまでデモ隊がなだれこむに至った。韓国での反米運動は、アカのスパイ工作でなく、在韓米軍すなわち国連軍の自業自得だと言える。

米韓間の緊張が高まる流れの中、日本は蚊帳の外ではおられなかった。旧日本軍による慰安婦問題である。1989年に吉田清治の著書が韓国で翻訳され、元慰安婦の金福善は吉田証言を契機として名乗り出た。その後も韓国、フィリピン、台湾などの反共圏から元慰安婦であったと名乗り出る女性が多数現れた。1996年国連人権委員会のクマラスワミ報告に至っては、「日本軍によって設置された慰安所制度が国際法違反であることを認め、その法的責任をとること」などが日本国政府へ勧告された。しかし、その時期に韓国内で注目を浴び、現実に多数の人も亡くなって問題となっていたのは、アメリカ軍すなわち国連軍の慰安婦だったのだ。

「旧日本軍慰安婦問題とはアメリカ&国連によるスケープゴートであった」と主張したいわけではない。保守界隈は、提供された話題を鵜呑みにして条件反射が過ぎるという提言である。ある種の問題が火付けされたとき、ボヤを見て火事だと叫びだすのではなく、冷静に火付け犯とその動機を見定めるべきなのだ。以下、似たような事例を列挙してみる。

2. 徴用工、尖閣、竹島、北方領土、南京、…

ウクライナ問題、その手前にはウイグル問題、香港民主化運動など、アメリカは他国の人権問題にうるさい。先ごろ解決に向かうよう報じられた徴用工問題も、2019年には原告側弁護士が国連へ問題提起するとの動きを見せていたものだ。国連本部とはいわずもがなアメリカのニューヨークにある。

そのアメリカで先年問題になったBLM運動は、黒人差別への反動と知られている。しかしその本質は、日本の報道からはうかがい知れない。実は、アメリカには奴隷制が今なお継続しており、去年の中間選挙の争点の一つですらある。アメリカ合衆国憲法修正第13条で、奴隷制は完全廃止とはなっておらず、その抜け穴が今日の重篤な人権問題を生んでいるのだ。

「奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く。」

上の通り、犯罪者処罰に関して奴隷制存続の例外規定を設けているのが人権大国アメリカの実状である。世界の受刑者の四分の一がアメリカにいるという事実が何を意味するか。ことさら黒人を選んで逮捕し、三振法(3度目の有罪判決を受けた場合、罪の種類によらず終身刑)で奴隷が仕立てられる産獄複合体の構造悪。アメリカが、他国に強制労働問題があって欲しいと願う気持ちは理解できるだろう。

残りは手短に済ませよう。尖閣問題であるが、これの言い出しっぺはアメリカ留学中の台湾人学生であった。沖縄返還2年前に保釣行動委員会を立ち上げ、香港や大陸に広がりを見せた。この仕掛け、もとい運動がなければ、尖閣沖の豊富な埋蔵資源が、日中台を仲良く結びつけていたのではないか。

続いて竹島問題であるが、1952年の李承晩ラインで韓国が勝手をしたものと知られている。しかし1950-53年は朝鮮戦争中であり、アメリカの認可なく傀儡の李承晩が何か出来るわけがないだろう。

さらに北方領土問題であるが、これはプロジェクト・フラ(1945年5-9月)にて米国がソ連を目いっぱいサポートして樺太南部や千島列島へ侵攻させたもの。この支援がなければ、ナチスドイツと絶滅戦争を戦ったソ連には極東へ出張る体力など残っていなかった。

そして南京問題であるが、アメリカの宣教師らが蒋介石・宋美齢らと組んで焚きつけたものである。20世紀はじめ、アメリカは中国がいずれキリスト教国になると踏んで、蒋介石をアジアのナポレオンと持ち上げ、大いに期待を寄せていたのだ。

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  • 3. 「太平洋戦争」アメリカの手口と動機

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