夏休み特別企画|田母神から学生諸君へ02|国際政治と靖国問題

田母神俊雄から学生諸君へ伝えたいこと第二回
田母神セブン 2023.08.08
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〇軍事力とは?

〇軍事力と外交交渉

〇外交で侵略する中国

〇正しい外交姿勢を

〇靖国参拝の真の意味

 皆さんこんにちは。前回「歴史は戦勝国が作る」という話からスタートしましたが、そのアメリカの占領下で日本軍に売りつけられた間違った考え方。それは 「軍事力の強化は戦争するためだ。」というものがあります。

軍事力とは?

 軍事力なんか強化して戦争する準備をしているのか?ということが日本ではよく言われますけども。軍事力の役割は、第二次大戦前と第二次大戦後ですっかり変わっていると言われております。第二次大戦までは確かに戦争するのに理由はいりませんでした。

 戦争やって勝てると思えば相手の国に押し入って冨や資源を分捕っていった、奪っていた訳であります。しかし、第一次大戦、第二次大戦が終わって、世界中で多くの何百万というような人たちが亡くなる。そういった結果によって、やっぱり戦争はできるだけやらないようにしようという世界中の雰囲気が出来上がってきたわけであります。

軍事力と外交交渉

 戦争をやらないから軍事力はいらないのか?というとそうで無い訳であります。実は外交交渉、これは軍事力をバックに行われるわけであります。軍事力が弱いと、外交交渉では勝つことはできません。戦争するぞ!戦争するぞ!と脅かされて戦争をしたら負けるしかないと思えば、外交交渉で戦争しないために譲歩するしかありません。

 これでは国を守れないということです。軍事力を強化して周辺国から脅かされない、あるいは万が一戦うことになっても負けないという軍事力を保持しておく。強い軍を作って訓練をしておくということは、相手に戦争で物を奪うという思いを抱かせない事に繋がります。そして戦争をやるぞ!戦争やるぞ!と脅かして何かを取るということを出来なくする事が出来ます。ですから第2次大戦後の時代になった今では、軍事力は戦争しないためにあると言えます。軍事力が強くないと外交交渉で頑張れません。外交交渉は現実世界では言う事聞かないとぶん殴る!あるいは戦争するぞ!という体制で、究極的には行われる訳であります。

 ところが軍事力が圧倒的に弱いとこれは戦争したら負けることになりますから、なかなか外交には勝てない。軍事力が強い国が「ふざけたことばっかり言っているとぶん殴るぞ!」という体制で外交交渉に臨むのに対して、日本みたいに「軍事力を絶対使えません。」「日本は軍事力を絶対に行使しない国です。」と言ってしまうということは、簡単にわかりやすく言うと、「ふざけたことばっかり言っていると、話し合うぞ!」と言っているのと同じことなんです。これでは外交交渉には勝てない訳であります。

外交で侵略する中国

 日本が最近中国にいろいろ嫌がらせをされる、脅かされる。これは、30年前にはあり得ないことでした。中国が軍事的に弱かったからです。あれから中国はだんだん軍事力を蓄積して、今では日本を超えるほどの実力を持つに至りました。そうして自信を持ってきて日本に対していろんな脅かしの行為に出るわけです。尖閣諸島もそうです。もう既に100何十日以上も、日本のいわゆる接続水域に中国が軍艦等を遊弋(意味:艦船が(相連れて)海上をあちこちと航行すること。)させて日本を挑発しているわけであります。言うことを聞かないと殴るぞ!戦争するぞ!という体制であります。もちろん中国も日本と戦争することは望んでいないし、実際やった結果、本当に中国が勝てるかどうと言うこともわからないと思います。

 だから中国は戦争することなく、軍事的にもう諦めて尖閣諸島を中国に渡せという威圧をして来るのです。日本を挑発して日本に一発手を出させて戦争に持ち込むということを中国は望んでいるのではなくて、日本を脅かして戦争に至らずに、戦わずして日本から尖閣諸島を分捕るということを計画している訳であります。

 最近では、南鳥島にも中国の船が出てきて、海洋調査とかいろんなことをやっています。数年前には南鳥島周辺のサンゴが根こそぎ中国の漁船等に取られてしまいました。これも3年間かけて、最終的に100隻ぐらい来て、そして根こそぎ持っていかれました。

 最初は3隻5隻なんです。日本政府が何の対応もしないから、これが10隻に増えます。それでも何の対応もしないから30隻に増えます。それでも何の対応もしないから100隻に増えます。それでも何の対応もしないから、全部行けということで200隻以上も来て、宝石サンゴがねこそぎ取られたということです。

 日本政府が中国の漁船が3隻5隻の間に、きちんと対処しておけば、「出て行け!」と言っていうことを聞かなければ沈めておけば、ああいう事態にはならなかったと思います。国際法では、よその国の領海に立ち入って、相手国の軍などの言うことを聞かなけれ

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  • 正しい外交姿勢を
  • 靖国参拝の真の意味

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