アメリカは日本を守るのか? | 田母神俊雄

米国は核による反撃恐れ日本を助けない
田母神セブン 2023.02.23
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田母神セブン通信は、元航空幕僚長の田母神俊雄が、軍事・国際情勢・日本の行方などについて解析するためのチームを新たに結成し、田母神俊雄とそのブレーンによる広く深い、ニュース・分析をお伝えしてまいります。

防衛費1.5倍増は決定したが自衛隊の手足は縛られたまま

 ロシアのウクライナ侵攻で日本もようやく目覚め始めた。次の5年間で防衛費を倍増することが決定された。しかし専守防衛はそのままで、必要最小限の武力行使だとか、まだまだ腰が引けている。野党第一党立憲民主党は敵地攻撃ミサイルを持つことにも反対している。核武装についても岸田総理は非核三原則を堅持し世界の核廃絶の先頭に立つとか言っている。我が国の総理ともあろう人が今なお、お花畑にいるとしか思えない。我が国が真に目覚めるためにはまだしばらく時間を要することになるだろう。しかし今後5年間で防衛予算が倍増されても実質の防衛力が強化されるのは10年後のことだ。未だ日本が英独仏などと同じ防衛体制になったわけではない。それにも拘わらず戦後我が国に蔓延する軍事を忌避する性向はこの期に及んでも我が国の手足を縛り国家安全保障体制の確立を妨害している。

GHQによる日本弱体化と分断

 戦後GHQは日本占領下で、日本が二度と再びアメリカの脅威として立ち上がることがないようにと徹底的な日本弱体化工作を実施した。国際法では占領国が被占領国に恒久法を強制することは禁じられているが、アメリカはそんなことはお構いなしに憲法や教育基本法の改正も実行した。そして日本が戦争で焼け野原になったのは、やる必要もないのに、わざわざ負ける戦争をアメリカに仕掛けた日本帝国陸海軍の軍人たちのせいだ、日本国民は被害者なのだと宣伝しまくった。日本の軍人は悪だ、無能だと騒ぎ立て、軍人と一般国民を分断するアメリカ得意の分断工作は日本占領下でも強力に実施された。そして戦後教育で軍は悪なのだと刷り込まれた人たちが今でも政界、財界、教育界で自衛隊と距離を置こうとする姿勢を強く持っている。これが自衛隊の予算削減圧力となり、保有する戦闘機などの稼働率を高く維持することを困難にしている。今回防衛費の増額が決定されたが、これまでは一部の戦闘機などは地上で部品取りの機体として利用されるような状態だったという。自衛官の処遇も他の公務員並みかそれ以下に抑えられている。通常諸外国では軍人の処遇は一般の公務員よりは高く設定されている。

日本国憲法は対日占領基本法である

 今の日本国憲法は占領下で決定された対日占領基本法であるが、平和憲法と崇められ、これが日本の平和を守ってきたのだという。戦後77年も経っても我が国は戦後体制から脱却できずに苦しんでいる。憲法前文には、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して日本の安全と生存を保持することを決意したと書いてある。我が国周辺の国を見ただけでもそんな国はないことが分かろうというものだ。それにもかかわらず我が国では与党野党共に自衛隊の手足を縛っておくことが安全保障の根幹だと考えている。専守防衛、必要最小限の軍事力保持、攻撃的兵器は持たない、非核三原則など軍事常識的にはあり得ないことを国の方針としている。バカなことだ。我が国はアメリカとの戦争に敗れ日本軍を失った。戦争で失った最大のものは日本軍なのである。これを取り戻さなければ日本の戦後は終わらない。そのためには憲法を改正し、自衛隊を正規日本軍と位置付けることが必要だ。憲法改正は9条の改正が本丸なのである。

日米安保は有事には機能しない

 ウクライナ戦争では核武装国ロシアが非核武装国ウクライナに侵攻したが、米英は戦闘に参加してウクライナを守ることはしない。元々ウクライナの安全保障については1994年のブダペスト覚書があり、ウクライナの核放棄を条件に米英露の3か国がウクライナの安全を保障するという協定だ。しかし当のロシアがウクライナに侵攻し、米英もロシアに宣戦布告をしてウクライナを助けることはしない。米英と露の戦争になればエスカレートして核兵器の打ち合いになる可能性がある。核戦争に勝者はいない。1発の破壊力があまりにも大きすぎるため共倒れになる可能性が大であるからだ。米英もブダペスト覚書を守ることよりは自国の安全の方が大事なのだ。当然のことだと思う。だから核武装国中国が日本に侵攻してもアメリカは日米安

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  • 核兵器は徹底的な防御用兵器である
  • 日米韓の北朝鮮の核武装放棄は日本の核武装阻止

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