陸自ヘリは撃墜されたのか? |第5回 防衛システム研究所
「田母神セブン」メンバーの一員、「防衛システム研究所」は元陸上自衛隊中部方面総監の松島悠佐が代表を務める会社です。陸・海・空の退職自衛官を中心とした構成員で防衛、軍事等についての知見を活かした活動を行っています。
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陸自第8師団長座乗のUH-60ヘリが宮古島周辺で行方不明になっている。一刻も早い発見と乗員の無事を強く願う。
しかし、巷で語られている「撃墜」説は周辺の状況、航空機の破壊・墜落などのメカニズム等から、今回の場合は「無い」と考えられる。
撃墜の場合、ミサイルによる破壊、ドローン(無人機)との衝突、電磁波による人員や電子機器の撹乱・破壊が考えられる。
消息を断つ2分前に管制塔と通常の通話をしていることから、その後、操縦士がなんのリアクションも取れず瞬時に破壊に至ったと見るべきである。
そのためにはかなり破壊力のあるミサイル、大型のドローン、大規模・大出力の電磁波のコンタクトが必要となる。ミサイル、ドローンともそのような大型の物の存在は各種監視センサーで検知される。電磁波も物体を破壊する、或いは人体に異常を生じさせるほど強力なものならそのプラットフォームが検知されるとともに、通信障害や電波障害などの電波異常が検知される。今回これらについては検知された情報はない。
あとは携行できるミサイルである。まず射程が数キロ以内なので可能性が低くなるが、近くの漁船などからの発射、水中から浮上して発射できる可能性はある。しかし携行ミサイルは赤外線誘導のものが主流であり、エンジンから出る熱気を感知して追尾し目標近くで弾頭が破裂し破壊する。ただ、携行できる程度なので、それほど大きな破壊は出来ず、瞬時に破壊、墜落には至らない。被弾し、機体または操縦者が損傷し、機体が破壊され、操縦不能・安定維持困難となり墜落に至るというメカニズムになる。
この過程には少なくとも数十秒から数分の時間がかかる。また、このような異常事態が生じた場合、操縦士、通信員などは緊急通話、救助信号などを発するように訓練されている。
今回はこのような異常事態を知らせる行動は一切ない。また周辺で異常事態を観測することもなかった。
このように、周辺状況からの可能性、墜落に至るメカニズム、異常事態の観測状況の考察から、陸自のヘリが、なんらかの意図をもって「撃墜」されたという可能性は否定できる。
真相はボイスレコーダー、フライトレコーダーなどの解析から明らかになるであろうか、通常状態から操縦士(2名)が認識できない(一方が認識しても対応が間に合わない)うちに、いきなり、海面衝突等に至った可能性が高いと考えるのが妥当ではないだろうか。
文:防衛システム研究所
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