ロシアのウクライナ侵攻で露呈したアメリカ大統領の意図| 田母神俊雄

田母神がロシアのウクライナ侵攻の所感とアメリカの思惑について書きました。
田母神セブン 2022.12.26
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田母神セブン通信は、元航空幕僚長の田母神俊雄が、軍事・国際情勢・日本の行方などについて解析するためのチームを新たに結成し、田母神俊雄とそのブレーンによる広く深い、ニュース・分析をお伝えしてまいります。

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ロシアのウクライナ侵攻での田母神の所感

 今年の2月になっても私は不覚にもまさかロシアがウクライナ侵攻を始めるとは思っていなかった。昨年10月からロシアはウクライナ周辺に演習と称して大軍を集結させていたが、ウクライナを威圧してNATO加盟を阻止することを狙っているのだと思っていた。しかし2月24日ロシアのウクライナへの侵攻が開始されてしまった。そしてすでに10カ月が経つが戦況は一進一退で収束の見通しは立たず、戦争はまだまだ続きそうである。プーチン大統領は今回の侵攻を起こす際、8年前のクリミア併合が上手く行ったので今回もすぐにウクライナが手を上げると判断したのかもしれない。しかし戦争が始まるやウクライナのゼレンスキー大統領は徹底抗戦を主張して、アメリカなどの軍事支援を受け、一歩も引くことなく核大国ロシアに戦いを挑んでいる。しかしながら侵攻を受けたウクライナ側の被害は大きく、あの惨状を見れば、我が国も中国などの侵攻を受けないようによくよく準備しなければいけないと思う。ウクライナは1994年のブダペスト覚書で核放棄に合意したことを悔いているのではないか。 

 ロシアの侵攻は武力で現状を変えるという国際秩序を壊す行動であり断じて許されてはいけない。これが許されては、中国の台湾や尖閣諸島、沖縄への侵攻も許されることになる。我が国としてはロシアの行動を強く非難し続けなければならない。しかし一方で言葉だけではなく、軍事力の均衡が侵略を抑止するという現実を踏まえ、自分の国は自分で守る態勢を目指して軍事力の強化を急がなければならない。ここにきて我が国も遂に5年間で防衛費を2倍にする政治決断をした。自衛隊には自衛隊の米軍からの自立も見据えて予算の有効活用を考えてもらいたい。

  アメリカはウクライナに軍需品の支援をするだけで今回の戦争に参加していないが、ウクライナとの同盟関係がないからということだけではない。核武装国ロシアと戦争になることは避けたいという判断があると思う。核武装国ロシアが非核武装国ウクライナを侵略してもアメリカは直接戦闘に参加して守ることはしないということが明らかになった。

 アメリカは同盟関係になくともコソボやシリアなどの戦争には参加している。だから今回核武装国中国が非核武装国日本を侵略してもアメリカが共に戦ってくれる可能性は低いということが明らかになったのである。日米安全保障条約はあくまでも抑止のための条約だと思う。

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