反撃能力が無くては国益を損なう 前編 | 田母神俊雄
田母神セブン通信は、元航空幕僚長の田母神俊雄が、軍事・国際情勢・日本の行方などについて解析するためのチームを新たに結成し、田母神俊雄とそのブレーンによる広く深い、ニュース・分析をお伝えしてまいります。
反撃能力が抑止力になる
昨年12月末我が国は、今後5年間で防衛費を1.5倍程度に増加させる決定をした。更にこれまで腫れ物に触るような扱いをしてきた反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つことも決定した。これまで防衛費はGDPの1パーセント以内、攻撃的兵器は持たないと軍事的合理性など全くおかまいなしにアメリカとの付き合い上のみで自衛隊を整備してきた我が国の政治が大きく変わることになった。
反撃能力を備えるということは、当然のことだ。殴っても殴り返される恐れがなければ敵は安心して日本を攻撃できる。それでは抑止力にならない。一発殴ってみろ、必ず3発殴り返してやる、この態勢を取ることによって敵の攻撃意図を事前にくじくことが出来る。強い軍事力が敵の日本への侵攻を抑止するのだ。プロレスラーに飛び掛かるバカはいない。
出典:陸上自衛隊HP より引用
核武装した方が国家は安全
軍事力は強い方が国家は安全である。同様に核兵器も持っている方が持っていないよりも国家は安全である。国際政治の場では常識のこの考え方が我が国ではまだまだ理解が広がらない。かつてヨーロッパで核廃絶運動が盛り上がった時、イギリスのサッチャー首相は議会で言った。「私は核のない世界よりは平和な世界を選ぶ。第2次大戦で日本は何故アメリカの原爆投下を受けたのか。それは日本が核武装していなかったからだ」と。核兵器の戦争抑止力を十分に理解した発言だと思う。一方我が国は今なお非核三原則を維持し、造らず、持たず、持ち込ませずと言っている。あんな怖いものを持ってどうするということだ。岸田総理も非核三原則を維持し、世界の核廃絶の先頭に立つと言っている。総理は被爆地広島の出身だからということをしばしば口にするが、であれば日本こそ3度目の核攻撃を受けないために核武装する権利があると言うべきではないのか。しかしもういい加減、総理にも目覚めてもらいたい。強大な攻撃力を持つ核兵器こそ最大の抑止兵器なのだ。
専守防衛は戦いには必ず負ける
我が国にも強い軍事力を持ち、核武装も目指してもらいたいが、まだまだ日本の政治は国を守ることに自ら縛りをかけようとする。専守防衛とか必要最小限の武力行使とか戦いに勝てない軍事戦略で自衛隊の行動を縛ろうとする。専守防衛とは敵の攻撃を受けてから初めて武力行使が出来るというものだ。日本が専守防衛であれば敵は、第一撃で自衛隊戦力を壊滅できる準備をしてから攻撃してくるので殴られて終わりということになる。専守防衛では絶対に戦いには勝てないのだ。専守防衛でも勝てるのは横綱白鳳と小学生が相撲を取るような圧倒的戦力差がある場合のみである。また何故必要最小限の武力行使なのか。まして戦いの場においてこれが必要最小限だと判断できるわけがない。そんなことを考えて手をこまねいていたら勝てる戦いも負けてしまう。我が国の政治も目覚めて、自衛隊の手足を
縛るのではなく敵の手足を縛ることを考えてもらいたい。
GHQによる公職追放と自虐史観教育
出典:陸上自衛隊HPより引用
我が国の政治は自衛隊の戦力強化に罪悪感を感じているのではないか。軍は必要悪だから小さければ小さいほどいいというものだ。多くの国では軍は国民の財産であると考えるが我が国では軍があるから戦争になると考える知識人も多い。戦後GHQによって敷かれた日本弱体化