世界最終戦論と日本オワコン論 | 浅間さん抄(3)
田母神セブンでの執筆を拝命しました、浅間良恒と申します。教育学部(学校心理)卒、金融系システムエンジニアとして約20年勤めている会社員です。目に見えるものの裏側・仕組みに関心を向けて、自分が納得するまで調べて考えます。いわゆる愛国者目線とは異なるところもありますが、味変のようなものとしてご賞味ご笑覧ください。
1.ABEMA感想文への誘い
2.日本ってオワコン?
3.議論は「幸せ」の在り方に
論破王ひろゆき氏いわく、日本は労働者以外にとって住みよい国。メンタリストDaiGo氏いわく、日本は飯がうまいから高い税金を払っている。これでいいのか日本。
1.ABEMA感想文への誘い
石原莞爾の世界最終戦論に刺激を受けて田母神セブンへの投稿記事に向かっておりましたが、なかなか筆が進まず。そんな折「本日(4/28)21時からアベマに田母神さんが出演されるので、是非」とご案内を受け、このたびの視聴感想文と相成りました。
番組のテーマは「日本の可能性:日本オワコン論を大激論」。世界最終戦争よりもライトなタイトルに筆も軽くなろうというものです。メインキャストにひろゆき氏やメンタリストDaiGo氏ら。論破王や心理学の使い手を相手に、愛国者田母神さんのトークが光ります。ちなみに私は日本国を愛するというより、多数の国家が世界でひしめく姿を愛でたい考えです。そのためにも、日本国が踏ん張らねばならないのですが。
2.日本ってオワコン?
ひろゆき氏「金持ちタイプの日本にいる人って、みんな飯がうまいしか言わないんですよ」
DaiGo氏「(日本のいいところは)いっぱいあるけど、それを潰して余りあるものが霞が関(政治)にある」
ひろゆき氏のいう「みんな」って、どの範囲なのでしょう。それってひろゆき氏の感想ではないでしょうか。メンタリストDaiGo氏は、何やら政治(霞が関)に対して腹に据えかねるものをお持ちの様子です。
ナレーション「30年間日本の給料は横ばい」「もはや日本はオワコンなのでしょうか?」
ひろゆき氏「日本の悪い部分、給料が低いとか満員電車が大変とか。労働者であるとめっちゃキツイんですけど。物価は安いし飯はうまいし、労働者以外の日本にいる人はめっちゃ幸せ」
これは聞き捨てなりません。私は20年間、そのめっちゃキツイ労働者人生で暮らしているわけです。万国の労働者が何処で団結しているかは存じませんが、日本の労働者は満員電車にすし詰めです。全国の労働者よ、分散乗車せよ。
DaiGo氏「海外が日本の会社を安く買う。会社を買うっていうことは、働いている人の人生を買うっていうこと」
そうですね、インバウンドで日本が儲かるとか、そんな話じゃないんです。日本国民の人生、生命が海外勢に安く買われている。なぜ?どのようにして日本は安い国になっていったのでしょう?
3.議論は「幸せ」の在り方に
田母神さん「外国人がホテルを買ったりして、日本人が外国人に使われる。日本人にとって長期的に幸せなことではない」
ひろゆき氏「幸せにはなってないけど、不幸もない、停滞が続いている」
田母神さん「人が幸せになるには、政治的な自由と経済的な自由。自分のやりたいことができる事が幸せ」「政治の目標は国民を幸せにすること。国民を幸せにできない政治なんかやってる意味がない。日本だけが伸びてない」
ひろゆき氏「大企業の経営側に問題がある気がしていて」
田母神さん「国の金融財政政策が間違っている、緊縮財政に意味はない。税金と言ってきた人には引退してもらって、積極財政を唱えている人に選手交代してもらったらいい」
ひろゆき氏「今の政治家とか官僚を見ていると、クールジャパン予算とか何百億円とすっちゃって、国外にお金使って」
ひろゆき氏は、幸福追求をしない国民性や、利益追求をしない大企業に原因を求めているようです。メンタリストDaiGo氏は、政治がダメだ、意見を口封じする正義気取りがダメだといって、田母神さんにシンパシーを感じているようでした。
幸福度の向上施策として、前のお二人は週休3日や有休取得の義務化などを言います。田母神さんは「有休をとるかどうか、中央からルールで縛るのはおかしい。働き方を自由に」とおっしゃる。たしかに、幸福度の為だと働き方改革を断行されても、それが効果なければかえって人々を縛るだけ。DaiGo氏自身が否定した、「ルールや法律を増やす」ことを自分が言ってしまっていますね。
4.問題は見つかるが、原因はどこ?
なぜ日本人は幸せから遠のいてしまったのでしょう。
話を経済力に絞るとして、世界経済の右肩上がりから日本が取り残されて、平らな成長という「平成」30年余りを送ってきた原因はどこにあるのでしょうか。
一労働者として主張しますと、日本人の「生産性が低い」という論は却下です。給料を高く設定すれば、海外にバラまかず国内収益に還元すれば、生産性指標は高くなるわけです。この点、大企業に原因を求めたひろゆき氏よりも、国家レベルの金融財政に目を向けられた田母神さんに軍配が上がると私は思います。
改めて、成長が横ばいになるような金融財政は、なぜ日本で断行されたのでしょうか。
持論として以下、失われた30年の早わかり。
・プラザ合意で円安政策に終止符(1985年)
・日本が日露戦費の借款返済(1986年)
・バブル開始(1986年) ※日本の金余り
・冷戦の終結(1989年) ※日本が東側に転ぶ恐れ消滅
・バブル崩壊(1991年) ※日本の金が消える
<失われた30年の開始>
・日本ってオワコン?(2023年ABEMA Prime)
平たい成長の30年が、織り込み済みだったと私は見ています。
この視座は、誰かに習ったものではありません。
大正から昭和初期にかけて石原莞爾がもっていたであろう世界観に、現代でこそ手に入る情報を加上して、日蓮主義者の毒気を抜いたのが私の世界観です。
田母神さんが繰り返し仰る「国民の幸せ」。為政者の覚悟として、これは欠かせない素養です。ほかの愛国者らは、とかく自分の天国を語りがち。例えば2012年、「衆議院議員稲田朋美さんと道義大国を目指す会」では「国民の生活が第一なんて政治は間違っている」との発言。(https://www.nicovideo.jp/watch/so17573568)
いったい、間違っていたのは誰だったのでしょうか。
保守の守破離が必要です。
明らかなのは、ここまで「保守」として日本の政治を取り仕切っていた者の中に、国民を裏切っていたものがいるという事です。しかしその裏切り者にすら、私はある種の興味を惹かれます。いったいその者らは、どんな眼鏡をかけて、どんな風に世界が見えているのだろうかと。
私がいわゆる愛国者でなく、エンジニアとして「仕掛け」に興味があるという話、伝わったでしょうか。
それでは次回からは、統一教会の正体や愛国運動の化けの皮、世界統一という思想や運動など扱って参ります。
文:浅間良恒
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