ヘリコプター消息不明 整備幹部の眼 | 榊原吉典の
視点 第5回
「田母神セブン」メンバーで田母神俊雄の元部下、榊原吉典によるコーナー「榊原吉典の視点」の第四回として陸上自衛隊ヘリコプター消息不明についての考察をお届けいたします。
陸自ヘリ消息不明については、報道番組でよく取り上げられていますが、私も一国民として、一刻も早く不明隊員らが発見されること祈っております。
一方で、発見が遅れていることもあってか、本件については様々な憶測が流れております。田母神セブンでも「陸自ヘリは撃墜されたのか?(第5回 防衛システム研究所)」でも取り上げただけでなく、「ABEMA Prime(4/11放送回)」でも、タモさん先輩が参加者からの質問に答えております。
本稿では、「ABEMA Prime(4/11放送回)」の流れに沿って、補足して説明させていただきます。
なぜSOSの発信がないのか?
タモさん先輩は「SOS発信する余裕のない状況だったのでは。補助ロータの不具合の可能性もある。補助ロータの不具合の程度によっては、操縦もSOS発信する余裕もないだろう。」と答えております。
私は空自の整備幹部のためパイロットほど経験談では説明できませんが、可能性としては、タモさん先輩の説明されたケースの他には、空間識失調(バーティゴ:パイロットが自分の操縦している航空機の姿勢、位置、運動状態等を客観的に把握できなくなった状態)に陥った場合や、SOS発信機関連が故障した場合等が考えられます。ですが、バーティゴは夜間飛行や昼間であれば雲中飛行などで陥る現象なので、今回は該当しないでしょう。また、SOS発信機関連の故障も数分前まで通話できていたような状況ですので、これも考えにくいでしょう。
よって、タモさん先輩の説明しているとおり、ヘリ機体の運動状態が、操縦士も副操縦士もSOS発信ができない状況であったと推測できます。
事故か?攻撃を受けたのか?
「事故発生→SOS発信」と考える方には、SOSが無いから攻撃を受けた思われる方もいるようです。
番組では、以下の可能性が取り上げられていました。
・中国軍によるミサイル攻撃
・工作員による破壊工作
・ドローンとの衝突
・妨害電波・電磁波攻撃
中国軍によるミサイル攻撃
タモさん先輩は「電波は発信元がすぐわかるので、使えば“犯人は私”と言っているようなもの」と説明されていました。そのとおりだと思います。不明になった近くである宮古島には空自のレーダーサイト基地もありますし、仮に中国海軍がミサイル攻撃したとしても(活動時間が離れているので考えられませんが)ヘリに着弾するまでの目撃情報や、不明点が陸地から近いとの事ですから着弾時の爆発音の情報もあったでしょう。以上を総合的に考えれば、ミサイル攻撃は無かったと考えるべきでしょう。